拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 辺境伯は他国から国を守るという性質上、強大な軍の保有が許されている。ただでさえそのことを快く思わない家門は多いのに、そこに鉱脈まで加わったらどうなってしまうだろう。
 きっと、あまりにも力をつけすぎると不穏分子になるので力を削ぐべきだと主張し始める貴族が多数現れるだろう。
 
(だからホーク様は、いつも税収と支出がぎりぎり赤字になるかならないかで調整されていたのよね)
 
 フィーヌが初めてロサイダー領の財政状況を確認した際に抱いた違和感はこれだった。
 毎年、赤字になるかならないかという絶妙なラインを狙って予算のやりくりがなされているのは、意図的なものだったのだ。
 つまり、ロサイダー領は世間で言われるほどお金に困っているわけではないのだ。

「考えてみたのですが、国内貴族からのそのような意見をかわすには、国王陛下のお力を借りてはいかがでしょうか?」
「国王陛下の?」
「はい。国王陛下に鉱山の権益のひとつをお渡しするのはいかがでしょう?」
「なんだって?」

 ホークは眉根を寄せる。
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