拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 ホークは首を傾げる。
 
(この方、シェリーさんっていう恋人がいるんじゃないの!?)

 訳が分からない。
 
「しかし、より誠実で正直であるよう努力したほうがいいかもしれないな」
「ええ、その通りです」
「なるほど。フィーヌ、顔を上げろ」
「はい?」

 フィーヌが顔を上げるとすぐ近距離にホークの顔があった。
 顎を掬われて、 そのまま唇が重なった。

(なっ!)

 びっくりしたフィーヌはホークを押し返そうと、彼の胸を叩く。
 しかし、鍛えられた体はフィーヌの抵抗にびくともしなかった。

「どうしてそうなるのですか!」

 ようやく解放されたフィーヌは、ホークに抗議する。

「きみがより誠実で正直でいろと言ったから、態度で示したまでだ」

 悪びれる様子もなく言われ、フィーヌは唖然とする。

「わたくし、浮気症の男性は嫌いです」
「俺は浮気しない。安心しろ」
「嘘つきは大嫌いです」
「きみには誠実でいる」

 フッとホークが笑いを漏らす。

(どの口が言うのよ!?)

 思わず『結婚初日に、愛人に会いに行ったくせに!』と言いそうになり、フィーヌは口を噤む。

(もう知らない!)
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