拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
むうっと口を尖らせると、ホークは楽しげに笑った。
後日、フィーヌがホークに渡した石は、複数の金属の鉱石と宝石の原石だとわかった。
その中でもホークが注目したのは鉄鉱石とダイヤモンドだ。鉄鉱石は近年普及し始めた鉄鋼材料に使うためニーズが高い上に武器や防具の原料として利用できるし、ダイヤモンドは貴族達に宝飾品として絶大な人気がある。
「明日、さっそく現地調査に行こうと思う。できればフィーヌにも同行してもらいたいのだが」
夕食の席で誘われたフィーヌは、「もちろんです」と頷く。
言葉で大体の位置を教えることもできるのだが、より確度高く鉱脈を掘り当てるにはフィーヌがヴァルに聞きながら作業を進めるのが早いと思ったのだ。
ヴァルが教えてくれた場所は、屋敷から馬で三時間ほどのところにある、辺鄙な場所だった。
現地での作業時間をできるだけ多くとるため、翌朝、フィーヌ達は朝日が昇るような時間に屋敷を出ることになった。
「きみが馬に乗れないとは、意外だったな」
「習う機会がなかったのです」
ホークの馬に相乗りさせてもらいながら、フィーヌは答える。