拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「早速試掘してみるか。皆の者」

 ホークの指示で、スコップを持った部下達が一斉に杭の周囲に集まり始めた。その人数、十名ほどだ。すると、それを見たヴァルはきょとんとした顔をした。
 
「あいつら、鉱石を掘りたいのか? 前にも言ったけど、ここは金じゃないぞ」

 ヴァルは彼らを眺めながら、両手を腰に当てる。

「わかっているわ。わたくし達は、この鉱石が欲しいのよ」

 フィーヌは説明する。

「その石、高価なのか?」
「ええ。鉄鉱石と呼ばれるもので、とっても価値のあるものよ」
「ふーん。じゃあ、オイラが採掘を手伝ってやるよ」
「え? 本当?」
「ああ、いいぞ。あいつはフィーヌのことを大切にしているから、いい奴だもんな」

 ヴァルは部下達に何かの指示しているホークのことを指さす。

(大切にしている、か……)
 
 ヴァルはバナージのことをよく『フィーヌを虐めるから嫌いだ』と言っていたが、ホークに関しては逆の印象を受けたようだ。

 傍から見るとそんな風に見えるのだろうかと、不思議な気分だ。
 
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