拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「ぼんやりしてしまい申し訳ありません。土の精霊が、鉱山を掘るのを手伝ってくれると言っています」
「本当か? それは助かる」

 ホークは喜色を浮かべる。
 鉱山の採掘において一番大変なのは鉱脈までたどり着くまでだ。いくらロサイダー領に屈強な戦士たちが揃っているとはいえ、大変なものは大変なのだろう。

「ヴァル。お願いできる?」
「任せておけ! ちょっと離れておけよ」

 ヴァルは胸を張ってえっへんと頷くと、両手を大地にかざす。
 すると、カタカタと地面が揺れ始め、ヴァルの足元に大きな亀裂が入った。そして、ガラガラと地面が崩れ落ちて直径三メートルほどの大きな穴が開いた。

「この一瞬で、すごいな。これが土の精霊のちからか」

 ホークは驚いたように呟く。

「カール。穴の中を見てきてくれ」
「はい。かしこまりました」
 
 カールがひょいっとジャンプして穴の中に入ると、地面に触れてから上を見上げた。

「鉱石らしき石がありました」

 カールは直径十センチくらいの石片を持った片手を天に向ける。

「それをくれ」
「はい」
 
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