拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 カールが上に向かって投げると、ホークはしっかりとそれをキャッチした。そして、まじまじとそれを眺める。

「たしかに、先日フィーヌが持ってきた鉄鉱石と同じに見えるな」
「同じだって言ってるだろ。オイラを誰だと思ってるんだ。間違えるわけないんだぞ」
「我々の領地にこんなものが埋まっていたとは。精霊の力とはかくも素晴らしいものなのか」
「そうだろ、そうだろ? オイラはすごいんだ。もっと褒めていいぞ!」

 ヴァルは褒められて気をよくしたようで、ホークに向かって元気よく話しかける。ホークに聞こえているわけではないはずなのに、ふたりの発言はまるで会話のようにかみ合っていた。
 
 その様子がなんだかおかしくて、フィーヌは思わずくすくすと笑う。

「精霊が何か言っているのか?」

 フィーヌの様子に気付いたホークが怪訝な顔をする。
 
「えっと……もっと褒めてくれたら嬉しいと言っています。とても褒められるのが大好きな子なんです」

 フィーヌはホークのそばに行くと、耳元に口を寄せてこそっと囁く。
 
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