拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「まあ、見つかったのですね。よかった」

 フィーヌは笑みを零す。
 先日の金山と違い、ダイヤモンド鉱山があるとヴァルから教えられた場所は屋敷からだいぶ離れていた。とても日帰りで行けるような場所ではなく、周囲に宿泊施設があるような大きな町もないのでフィーヌは留守番したのだ。

 フィーヌがいないと、ヴァルに詳細な場所を聞きながらの作業ができない。
 きちんと掘り当てられたか心配していたので、上手くいったようでほっとした。

 「これが、そのダイヤモンド鉱石だ。ロサイダー領で初めて採掘されたダイヤモンド鉱石になるな」

 ホークは親指の爪くらいの大きさの、小さな石をフィーヌに手渡す。
 ダイヤモンド鉱石についてフィーヌは詳しくないが、普段見るダイヤモンドの宝石に比べてとても大きいように感じた。

「思ったより大きな石ですね」
「ああ。同行を頼んだ鉱石の専門家も驚いていた。しかも、質もよさそうなんだ」

 ホークは機嫌よさそうに説明する。

「きみが提案してくれたとおり、二カ所の鉱山で試掘してどちらも同等の質のダイヤモンド鉱石が産出した。埋蔵量が少ないほうを、国王陛下に献上しようと思う」
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