それが例え偽りの愛だとしても
でも、その布の白さが、まるで私の“嘘”を隠すための幕のように思えて、心は晴れなかった。

その時だった。

「ごめん。」

不意に、玄関の戸が開き、あの声が聞こえた。

「……真人様」

「明日からは毎日会えるって、自分に言い聞かせたんだけど。」

真人様は、少し照れたように笑って中へ入ってきた。

その表情には、どうしようもない“会いたさ”が滲んでいた。

「本邸だと、お父上の目がある。でもここなら……安心して会えると思って。」

その言葉が、まるで優しい腕のように、私を抱きしめた。

こんなふうに、誰かに“会いたくてたまらない”と思ってもらえるなんて。

それだけで、涙が出そうになる。

「これは……婚礼衣装?」

「……はい。」

「綺麗だな。」

真人様は衣装に手を触れず、ただじっと見つめていた。
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