それが例え偽りの愛だとしても
あの理知的で落ち着いた彼が、緊張している?

「……あの、私は……何をすれば……」

頬が熱い。言葉がうまく出てこない。

そう言った瞬間、真人様の手が、私の腕をそっと取った。

そして、やわらかく、けれども迷いなく――引き寄せられる。

「……沙奈。」

真人様の声が、耳元でそっと囁くように響いた。

「ただずっと……俺の腕の中にいればいい。」

その言葉が、心の奥深くに染み渡った。

「はい……」

小さく返事をすると、真人様は私の肩をそっと抱き、布団の中へと導いてくれた。

「やっと……君を抱ける。」

切なさを帯びた声が、夜の静けさに溶けていく。

寝間着の紐がほどかれ、真人様の手が私の素肌に触れた瞬間、全身に火照りが走る。

「綺麗だよ……」

その囁きが、胸の奥を甘く揺らす。
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