それが例え偽りの愛だとしても
その中の年配の女性が、目を細めて尋ねた。

「まあ、お揃いでいらっしゃるなんて……初夜は、うまくいったようですねぇ。」

私の顔がかっと赤くなるのを感じたその瞬間、真人様が穏やかに答えた。

「——万事、うまくいったよ。」

そう言って、私の肩をそっと抱く。

「……っ!」

さらに真っ赤になった私に、使用人たちがくすくすと笑い声を漏らす。

恥ずかしさで胸がいっぱいになるけれど、真人様の手のひらの温もりが、安心感をくれた。

「さあ、朝ごはんにしよう。今日は君の好きなものを選ばせてあげるよ。」

「はい……」

こんな風に始まる新婚生活なら、きっと、悪くない。

朝食を済ませると、真人様は洋装に着替え、支度を整えた。

私は使用人たちと共に、玄関までお見送りに立つ。

「新婚だからね。なるべく早く帰るよ。」

優しく微笑むその言葉が、胸にじんわりと広がる。
< 45 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop