それが例え偽りの愛だとしても
「はい。よろこんで、お伴させていただきます。」

向かった先は、街の小さな花屋だった。季節の花が陽を浴びて、店先で風に揺れていた。

お義母様はまるで少女のように目を輝かせて、色とりどりの花を見比べる。

「どうかしら、居間に飾るのはこの辺りかしらね。」

本当に、お義母様は花が好きなのだなと、私は穏やかな気持ちでその横顔を見つめていた。
その時だった——。

「……あの方、木島のお妾さんよ。」

お義母様が、私の耳元でそっと囁いた。

ふと視線を向けると、華やかな着物を纏った女性が、一人で花を選んでいた。

「正妻の邪魔をしているって分からないのかしら。図々しいわね。」

お義母様の声は、ひどく冷たかった。

その瞬間、胸の奥がギュッと締め付けられた。

——妾腹。

それは私自身に降りかかる、切っても切れない言葉だった。
< 49 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop