それが例え偽りの愛だとしても
胸の奥に、じんわりと温かいものが広がった。

「嬉しいです。頑張った甲斐がありました。」

真人様は優しく微笑んだ。

「沙奈がこの家に来てから、家の中が柔らかくなった気がする。……君がいてくれて、本当に良かった。」

まっすぐにそう言われて、胸がきゅっとなった。

この人に、愛されている。
少しずつ、確かに——。

そして、真人様の腕の中に引き寄せられた瞬間、心臓の音が耳の奥で響いた。

「どうしてだろうね。君に触れていないと、苦しくてたまらないんだ。」

低く掠れた声が首筋を撫で、体が小さく震える。

「……真人様。」

「寝ても覚めても、君のことばかり考えてる。まるで熱に浮かされてるみたいだ。」

真人様は私の髪を撫で、そっと頬に唇を落とす。

吐息がかかっただけで、胸が詰まるようだった。
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