それが例え偽りの愛だとしても
胸が、鼓動がドキドキとなる。

「いつもこうして、君に触れたくなる。」

私の着物の裾が、真人様の手でめくれ上がる。

「俺は狂ってるんだろうか。」

そして真人様がズボンを下ろすと、彼の熱が私の中に入り込んだ。

「んあっ!ダメです……人が来ます……」

「来てもいい。見せつけたい……沙奈は、俺のものだって……」

声を殺すと余計に快感が体中を駆け巡った。

「旦那様?夕飯の準備ができています。」

廊下から聞こえた使用人の声に、私はハッと我に返った。

真人様は、私の髪に顔を埋めたまま答える。

「……今行く。」

けれど、彼の腕はまだ私を離さなかった。

畳に響く彼の心音と、肌を這う吐息だけが、静かな部屋に満ちている。

「もう……行かないと……」
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