それが例え偽りの愛だとしても
「二人とも、髪が乱れているわ。睦まじくされていたのね?」

かぁっと頬が熱くなる。まさか……気づかれていたなんて。

「い、いえ……あの、その……」

動揺する私の隣で、真人様は落ち着いた様子で髪を直していた。

「いいのよ。夫婦なんだから。」

お母様は何でもお見通しといった顔で笑みを深めた。

「これなら、お子さんができるのも早いかしらね。」

満足そうにそう言い残して、お母様は台所へと戻って行った。

ぽかんと見送った後、真人様と目が合う。

「……髪、乱れてた?」

「君もだよ。」

お互い思わず吹き出して、笑い合った。

――こんな風に、自然に笑い合える関係が、私はたまらなく嬉しかった。

ある日、屋敷に見覚えのある姿が現れた。

「まあ、羽奈お嬢様の……ばあやさん?」
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