私の年下メガネくん
「お、おはよ」
「おはようございます」
 葵はまったく表情を変えることがない。
「今日は雰囲気違いますね」
「うん、気分転換に……」
 どう思われたかな、と楓子はどきどきする。

「似合ってます。髪飾りも使ってくれてありがとうございます」
「ありがとう。嬉しい」
 えへへ、と笑うと甘やかな笑みが返され、耐えきれなくて顔を伏せた。
「こんなとこでいちゃつくな」
 冷ややかな声に振り向くと、爽真が苦虫をかみつぶしたような顔で立っていた。

「エレベーター来てるぞ」
「はい!」
 楓子はびしっと背を伸ばして早歩きで乗り込み、『開』を押して爽真と葵を待つ。
 葵は爽真との間に入り、会社のあるフロアに着くまで仕事の話をしていた。
 爽真といると今でも緊張するから、葵の気遣いがありがたかった。

***

 昼休み後、フリースペースにいる夢華はノートパソコンでファッション情報を見ていた。
「花蔵さんと風屋くん、つきあってるのかな」
 聞こえたひそひそ話に、耳をそばだてる。
「ふたりとも急に変わって、わかりやすいよね」
「仕事中はそんな雰囲気ないから実は違うとか?」
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