私の年下メガネくん
「だったら風屋くんいけるかな?」
「地味だのダサいだの言ってたのに」
 片方があきれたように答える。

「鶴谷課長がムズイんだもん」
「風屋くんも女性には塩対応じゃん」
「女性に免疫ないだけっしょ」
「ありうる」
 くすくすと笑って、ふたりは会話を打ち切った。

 夢華は鼻で笑った。恋愛偏差値の低いあんたたちに落とせるわけないじゃん。
 だけど私なら。
 夢華はにやりと笑う。
 あのむかつく女の恋人を取るなんて、なんて楽しそうなんだろう。

 いつもいつも自分ばかり注意して。課長が注意しないってことは、私はこれでいいってことじゃん。
 思ってから、はっと気がつく。

 つまり彼は私が好きなのでは? いつも怖い顔なのは、きっと好意の裏返し。
 いつその思いに応えてあげようか。お金を持ってそうだし、結婚式は派手にして、私は専業主婦で、一軒家を買ってもらって……。

 ああでも待って。先に葵くんを助けてあげないと。あの女は立場を使って言うことをきかせてるんだわ。彼も私に惚れちゃうよね。罪な私。
 夢華ははあっとため息をついた。
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