私の年下メガネくん
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休憩コーナーにいた葵はぶるっと体を震わせた。
「なんか今、悪寒が……」
「奇遇だな。俺もだ」
爽真は悪寒を追い払うように自身の腕をさする。
「お前、最近変わったな」
爽真に言われ、葵はちらりと彼を見た。
「外見のことなら、そうですね」
「それだけじゃないだろ」
言って、爽真は缶コーヒーを飲む。
間が持たず、葵もコーヒーを飲んだ。
「俺はお前がうらやましい」
葵は爽真を見た。彼は同じくらい背が高く、珍しく目線が合う存在だった。
「俺が女性の服をほめるとセクハラになる可能性がある。結果、なにも言えん」
「言えばいいですよ。普通はそんな解釈はされません」
「今さらできるか」
「できないって決めつけてるだけじゃないですか?」
「……そうかもな」
爽真はフッと笑う。口の端に、なんだか苦い翳りがにじんでいた。
「話は飛びますが、一和の担当、俺に変えてもらえませんか」
「どうしただ」
葵が理由を話すと、爽真はふっと笑った。
「よく観察してるな」
葵がそっぽを向くと、爽真はまた無言で笑う。
「恋にうつつをぬかしてんじゃねーぞ」
空き缶をゴミ箱に捨てて、爽真は立ち去る。