私の年下メガネくん

***

 休憩コーナーにいた葵はぶるっと体を震わせた。
「なんか今、悪寒が……」
「奇遇だな。俺もだ」
 爽真は悪寒を追い払うように自身の腕をさする。

「お前、最近変わったな」
 爽真に言われ、葵はちらりと彼を見た。
「外見のことなら、そうですね」
「それだけじゃないだろ」
 言って、爽真は缶コーヒーを飲む。
 間が持たず、葵もコーヒーを飲んだ。

「俺はお前がうらやましい」
 葵は爽真を見た。彼は同じくらい背が高く、珍しく目線が合う存在だった。
「俺が女性の服をほめるとセクハラになる可能性がある。結果、なにも言えん」

「言えばいいですよ。普通はそんな解釈はされません」
「今さらできるか」

「できないって決めつけてるだけじゃないですか?」
「……そうかもな」
 爽真はフッと笑う。口の端に、なんだか苦い翳りがにじんでいた。

「話は飛びますが、一和の担当、俺に変えてもらえませんか」
「どうしただ」
 葵が理由を話すと、爽真はふっと笑った。

「よく観察してるな」
 葵がそっぽを向くと、爽真はまた無言で笑う。
「恋にうつつをぬかしてんじゃねーぞ」
 空き缶をゴミ箱に捨てて、爽真は立ち去る。
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