私の年下メガネくん
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翌日、楓子は出勤してきた夢華に愕然とした。同様にフロア中の目が彼女を見つめる。
キャミソールに肌の透けるブラウス。スカートはぎりぎりのタイトミニだ。
「今日はセクシーですねえ」
呑気な晃司の声に、
「やっだあ、もう!」
夢華がきゃぴっと返している。
はっと我にかえった楓子はすぐに彼女を小会議室に呼び出した。
「土肥さん、服装はオフィスカジュアル程度にしてください」
「おしゃれしちゃダメなんですかぁ?」
「おしゃれがダメなわけじゃなくて」
「だったら黙ってて!」
叫んで返し、夢華は出て行った。
楓子は呆然とした。今までは適当に謝って通り魔のような暴言でやり過ごして来た夢華が、攻撃的だ。
小会議室を出てみかけた光景に、楓子は硬直する。上着を脱いで席についた葵の隣に、夢華が胸元を見せつけながらかがんでいた。
「……でね、夢華、寒くなっちゃってぇ」
暗に上着を貸せと言っているようだ。
葵はがらっと机の引き出しを開けた。中からカイロを取り出し、差し出す。
「去年のあまりです。どうぞ」
「……ありがと」
予想外の返しに、夢華はむっとしながら受け取っていた。
朝礼のあと、夢華はノートパソコンを抱いて葵の席に向かった。
「葵くーん。パソコンでわからないところがあるから教えて☆」
「名前で呼ばないでください。マニュアルは奥の棚です」
葵は振り向きもせずに答える。