私の年下メガネくん
「でもでもぉ。直接教えてもらった方が覚えられるので、個人レッスンしてくださーい☆」
「スクールに通ってください。今までどうやって仕事してたんですか」
 ばっさり切り捨てられ、夢華はあっけにとられていた。

 その間に楓子はふたりに近付く。
「土肥さん、私が教えます」
 楓子をにらんだ夢華は、すぐに困ったような表情に変え、小首をかしげた。

「葵くんがいいなぁ」
「名前で呼ぶなっつってんだろ」
 いらついた葵に、楓子は目を丸くした。こんな彼を見るのは初めてだ。

「主任、発注で悩んでまして、別室でいいですか」
 葵が席を立ちながら言う。
「わかった。課長、小会議室に行きます」
「ああ」
 爽真に許可をとり、楓子は葵とともに会議室に入った。
 その後ろ姿に、楓子は猛り狂う憎悪の目を向けていた。



 数日後。
 休憩コーナーで缶コーヒーを買った楓子は、大きなため息をついてベンチに腰掛けた。
 ぷしゅ、と開封して冷たいそれを飲む。

 さきほど爽真に注意された。
『最近、残業が多いな。書類も〆切ぎりぎりだ』
『すみません』
『言うことはそれだけか?』
 聞かれて、どきっとした。
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