私の年下メガネくん
「一和はこのまま風屋に担当してもらう。最近、残業続きで大変だろう」
「え……」
「ミスをなくすためにも仕事の軽減は必要だ」
「任せてください」
 力強い葵の声に、だけど楓子は頷けない。

「相性を考えても担当を変えるのは妥当だ。葵は一和の仕事をしたがってたしな。お前も、一回ミスをカバーしたくらいで調子に乗るなよ」
 葵に釘を刺し、爽真は飲み干したコーヒーの缶をゴミ箱に放り込む。

「気をひきしめろ。足をすくおうとする奴に隙を与えるな」
 楓子に言い捨てて、爽真はフロアへと戻っていく。

 足をすくう? 誰が? 風屋くんが?
 楓子は呆然として葵を見た。
 一和の仕事がほしくて彼がなにかをしたの? まさか、そんなこと。

「大丈夫ですか?」
 心配そうにたずねる彼に、楓子は首をふる。なんてことを考えてしまったんだろう。

「ごめんね、一緒に怒られちゃって」
「怒られたうちに入らないですよ。俺たち、課長の怖さはよく知ってるじゃないですか」
「……うん」
 頷くが、心は晴れない。

 その日は落ち込んだまま仕事をして、帰ってからは最低限の身支度でベッドに倒れ込んだ。
 スマホには葵からのメッセージが届く。
『今度一緒にでかけましょう。デートしたいです』
 誘いに、だけど胸ははずまない。
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