私の年下メガネくん
「思い違いですよお」
「じゃあこのメールはどういうことだ。差出元は社用じゃない」
 爽真はノートパソコンをくるりと回転させ、楓子たちに見せた。

『伝言聞きました! 三時にお待ちしてまーす! 花蔵楓子より☆』
 文面を見た楓子は頭がくらくらした。

「私はこんな文章書きません!」
「ですよね。赤沢さんにねちねちと指摘されて、絶対におかしいと思いました」
「葵くん、私を疑うの?」
「名前で呼ぶな!」
 葵が怒鳴り、夢華はびくっと身を震わせた。

「落ち着いて」
 楓子のなだめに葵は黙ったが、夢華をにらみ続けた。
「調べたら、土肥のパソコンからの発信だとわかった」
「なによ、せっかくフリーメールで送ったのに!」
 叫び返してから、夢華ははっと口をおさえる。

「自分で送ったと認めたな」
「ひどい!」
 夢華は両手で顔を覆って、ひっくひっくと嗚咽をもらした。

「私はちゃんと伝言したし、代わりに返事をしておいてあげただけなのにぃ!」
「嘘泣きはみっともないですよ。涙がまったく出てません」
 葵のつっこみに、夢華の泣き声が止んだ。

「課長ならわかってくれますよねぇ?」
 夢華が腰をくねらせて爽真を見る。
「まったくわからん」
 すぱっと断言され、夢華の顔は埴輪のように無になった。
 楓子はただ呆然とそれを見つめる。
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