双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す


「希穂の話聞いたら、なんの因果かって思っちゃったわ……」


 仕方なそうな、諦めにもとれる微笑を浮かべた母に、私はなにも返すことができない。


 因果、か……。


 母とはいえ、因果だなんて結構ひどいことを言っている。

 でも、そう口にしても仕方ないというのも私には理解できる。


「わかってる。でも、自衛官だから好きになったんじゃない。彼の人柄に惹かれただけ」


 好きになった人が、自衛官だっただけのこと。私はそう思っている。


「でも、これからお付き合いしていく上で、普通とは違う、特別な苦労とか苦悩があるかもしれないことはわかってるんでしょ?」


 姉からの厳しい問いに「うん」と答える。

 母と姉はそこから黙って手元を動かし始めた。

 いつの間にか鍋のお湯が沸騰していて、人数分のそばを茹で始める。


「希穂、よく、考えなさいね」


 母がぽつりとそれだけを言う。目を向けると、手を止めじっと私を見ていた。


「あなたには、私と同じような思いをしてほしくないから」


 母の目が微かに潤んでいるのを目にし、息をのむ。

 重みのあるひと言に黙っていると、リビングから陽太が「お腹すいたー」とカウンター越しに顔を出した。


「ゲーム終わったの?」


 姉に訊かれ陽太が「うん」とテレビを指さす。さっきまでゲームが映っていた画面には、夕方のニュースが映し出されていた。


「じゃあ、ふたりでテーブル片づけて、食べる支度して」


 姉からの指示にこどもたちが「はーい」と返事をして動き出す。

 その様子を横目に、テレビ画面に表示された〝インドネシアで震度七強の地震が発生〟という速報のテロップが目に留まった。

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