双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す


「それから、東京に戻って普通に生活してて。夏頃ね、ゲリラ豪雨で職場の最寄りの地下鉄が浸水したのに出くわしちゃって。そのときにたまたま助けてくれたのが、ビックリしたんだけど、こっちで助けてくれた同じ陸自の人で……」

 そこまで話すと、母と姉の表情が揃って無になる。姉が「あんた、まさか」と言った。

「……そう、陸自の方と、今お付き合いしてる」

「ちょっと、嘘でしょ?」


 姉は食いつくように言い、母は無言のまま年越しそばの準備の続きを始める。


「自衛官はやめなって、希穂に直接は言ってはないかもしれないけど、それくらいわかってると思ってたんだけどなぁ……お母さんも私も、見てきてるんだから」


 母は、自衛官だった父を任務中に亡くしている。

 娘の私が悲しんだ以上に、最愛の人を亡くした喪失感、そして、これからひとりで子どもをどうやって育てていこうかと不安な思いをたくさんしたはずだ。

 そして姉もまた、結婚した相手は自衛隊員だった。

 妃花と陽太の父でもある元夫とは、彼の仕事の事情で心身ともにすれ違いも多く、ケンカが絶えなかったと聞いている。結局、子どもたちのために離婚という形に至った。

 自衛官というのは特殊な仕事。そばにいるのは相当な覚悟がいる。

 ふたりを間近に見てきた私だから、まさかお付き合いした相手が自衛官だとは思うはずもなかったのだろう。

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