双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「なんだなんだ、元カレでも思い出してんのか」
背後からからかうような言葉をかけられ慌てて振り返る。
「なっ、なんでですか?」
「ここに来る前から様子がおかしいからだよ。今だってぼんやり眺めちゃって」
指摘されて「そんなことないです!」と即答で否定する。
「ほんとか~?」
長谷川さんは去年の年末、私と勇信さんが一緒にいるところを見かけたらしく、後日外回り中にそんな話題が出された。
そのときは幸せの絶頂にいたのもあり、素直に交際を認め少し勇信さんの話も聞かれて話した。
しかし結局はお別れする結末を迎え、それも『最近彼氏とはどう』なんて話題に出されたときにお別れしたことは話している。
「まぁ、正解だったと思うよ、俺は」
脚立を担ぎ、長谷川さんが唐突に言う。
「なにがですか?」
「だから、自衛官の彼氏と別れたの」
はっきりと断言するような言い方をされ、「はい……」と返事する。黙っていたら、まだ未練があるのかとかあれこれツッコまれそうだ。
「やっぱりさ、特殊な仕事なわけだし、付き合うとなると難しいと思うよ。うん、難しい」
「そうですね。それは、あると思います。実際、難しかったですし……」
「だろう? だから、冴島ちゃんの彼氏が自衛官って聞いたときは、おいおい、大丈夫かよって内心思ったんだよなー」
長谷川さんは、まるで自分も自衛官と付き合った経験があるかのような言いっぷり。それでも、心配してもらっていたのは伝わってくる。
「ありがとうございます。もう、いろいろと大丈夫なので」
あまりこの話題をずるずると話すのも嫌で、終わらせる方向に誘導した。