双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「あの子たちを産んでくれたのも、ここまで大きく育ててくれたのも……ありがとうなんてひと言じゃ済まないよ。俺はなにもできなかったから」
たったひとりで妊娠という事実を受け止め、相手のいない子を授かったと家族に打ち明けるには、相当なプレッシャーがあっただろう。
初めての妊娠出産が双子を授かったのだって、彼女の体には多大な負担があったに違いない。
その大変な時期を、俺はなにも知らず坦々と過ごしていたのだ。
「いえ、それは私がそうしてしまったから。自分から、勇信さんと離れることを選んだからです。産み育てると決めたのも自分です」
以前の彼女よりも強く逞しく見えるのは、母としてのこの数年間があったからだろう。
子どもたちに向き合う姿や、彼らを見つめる優しく寛大な眼差しにさっきから心が揺さぶられ続けている。
「さっきも言ったけど、俺は別れ話をしたつもりはない。でも、あのとき『待っててほしい』と言っていいのか、正直迷う気持ちがあったのは確かだ」
「なんで、迷ったんですか……?」
「不安な気持ちで待ってもらうなんて、エゴだと思ったんだ」
お父様の話を聞いて、同じような思いを彼女がしないようにと誓った矢先だった。
付き合うのが不安そうだった彼女に、全部受け止めると言ったばかりでまったく説得力がないと痛感した。
『待っていてほしい』
そう言ってしまえば、こちらの一存で彼女は不安を抱きながら明確な期限もわからず待ち続けることになる。
そんなエゴは許されるのか……結局、葛藤の末言い出せなかった。