双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「お母様のお気持ちは、なにも間違っていません。親なら、我が子に平穏な幸せを願うのが当たり前です」
沈黙が落ちていたリビングで、母の話を黙って聞いていた勇信さんが口を開いた。
母に向ける真っ直ぐな視線を目にする。
「でも、申し訳ないです。自分は、希穂さんと、生まれてきた我が子をこの手で幸せにしたい。その思いはまったく揺るがないです」
母の思い、勇信さんの思い、それぞれが交錯する中で、自分の気持ちを確かめる。
私は……。
「希穂と、陸と海。大切な人たちの存在が自分の生きる意味になり、絶対に命を諦めない強さになる。お母様には、単なるエゴに聞こえてしまうかもしれませんが」
勇信さんの言葉が胸に深く響いていく。
じっと彼の思いに耳を傾けていた母の無表情な顔が、わずかに変化する。気のせいかと思うほど、ほんの少しだけ緩んだように見えた。
「同じことを言っている人を、思い出しました……主人も、希穂の父親もそう言ってたから」
感極まったように母の目頭から涙がこぼれ落ちる。
父がいなくなってしまったときに見た、母の最初で最後の涙。
それからは母が涙を流した姿は見たことがなかった。
「お母さん。私も、すべて受け入れる覚悟で、勇信さんと家族になりたい。陸と海を、お父さんのいる子にしてあげたい」
お願いしますと頭を下げると、となりで勇信さんも頭を下げるのが目の端に映った。
「幸せにします、必ず」
膝の上で組み合わせた手を見ていると、「よろしくお願いします」と涙に震える母の声が聞こえた。