双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「今日、食料品の配布があったから避難所に行ったんだけど、足湯がやってて。ちょうど陽太と会ったから一緒に入ったのよ」
母が陽太に「ね、陽太」と話を振る。
「うん。足湯初めて入ったよ」
フォークにミートソーススパゲティを巻き付けながら陽太が言う。
「そうだったんだ。混んだりもするって聞いてたから、入れてよかったね」
災害支援に訪れている陸上自衛隊が、少し前に避難所横に開設した足湯。
地震発生後、避難所には陸上自衛隊の入浴支援も展開された。
水道の復旧まで時間がかかり、多くの被災者が入浴ができない中で始まった自衛隊の入浴支援は、安息と安心、なにより人々の大きな癒しとなった。
足湯もその一環で自衛隊が開設した支援だ。
「足湯なんかいつからやってたの? この間はなかったから、最近?」
「まだ、一週間も経ってないんじゃないかな。一般入浴の支援が落ち着いてきたから、開設されたみたいだけど」
母は「そう」と言いながらキッチンに戻っていく。
「こういう災害が起こると、自衛隊は大変ね」
母の何気ない言葉に、無意識にキッチンに目を向ける。忙しなく片付けの手を動かす母は無表情だ。
「ほんと、大変」
向こうで洗濯物を畳んでいる姉が、同調するように言う。
母と姉は、自衛隊のことをあまりよく思っていない。