双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「本当に、大丈夫ですか? 砂羽さんだって、私を送っていたら遅くなりますし。またここまで戻ってくるわけですよね」
「あ、そうか、言ってなかったですね。俺は駐屯地には住んでいなくて」
「え、そうなんですか?」
「はい。なので、ここには帰ってこないです。それに、この冴島さんの住まいなら俺も帰り道近いので、お気になさらず」
スマートフォンを置きハンドルを握り直した砂羽さんは「出しますね」と車を発進させた。
てっきり、駐屯地に住んでいるのだと思っていた。
でも、今日の木佐貫くんの話を聞いていると、砂羽さんは防衛大学を出て幹部だと言っていた。
自衛隊の階級には詳しくないけれど、幹部で一尉というのは若くしてそれなりに高い身分なのかもしれない。
駐屯地の外に住まいを持っているあたり、きっとそうに違いない。
「今日は遅くまでありがとうございました」
車が走り出してすぐ、砂羽さんは今日のお礼を口にする。
「いえ。こちらこそ、誘っていただきありがとうございました。付き添いの身のくせに、すごく楽しんでしまいました」
この間と同じ。時間が経つのがあっという間で、一日が終わっていくのが早かった。
それだけ充実した楽しい時間だったということだ。
「それはよかった。木佐貫も瑠南ちゃんも、楽しかったと思います。俺も楽しかった。一日があっという間でした」
砂羽さんからも私と同じ感想が出てきてつい顔が綻ぶ。あと少しで終わってしまうのかと思うと寂しいと感じるほど。
それから車内には心地のいい沈黙が落ちる。
窓の外に目を向けながら、少しずつ微睡みの中に落ちていった。