双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
夏場とは違い、十九時を過ぎる頃には空は完全に夜の闇に包まれる。
玄関を出ると冷たい空気に思わずコートの首元に顔を埋めた。
三月に入ったとはいえ、夜はまだまだ冷え込む。加えて東京よりも気温は低い地域だから、今回のボランティア参加には厚手の服を多めに用意してきたのは正解だった。
実家から宿泊中のビジネスホテルまで、徒歩二十分ほど。
徐々に電気も復旧してきてはいるものの、街灯が破損して日が暮れると暗い道も多くある。
地震が起きる前は、実家周辺の住宅地は夜でも比較的歩きやすい雰囲気だった。
それが、倒壊した家屋などで今は雰囲気が一変している。避難所に家族で生活している世帯もあるからだろう。
人のいない道を、自分の足音だけ聞きながら足早に歩いていく。
静けさがやけに不気味に感じてきて、周辺をきょろきょろと見回した。
進行方向は、築年数の古い民家が建ち並んでいた通りで、そのほとんどが今回の震災で倒壊してしまった。
明かりを求めるように振り返り、遠くに見える避難所の光を目にする。
そんなときだった。
なんとなく近くで人の気配を感じ、足を止めて暗闇の中で目を凝らす。
今歩いてきた後方に、物陰に隠れてこっちの様子を窺っているような黒い人影を見つける。
気味の悪さと、瞬間的に嫌な予感が過り、逃げるように足早にその場を離れる。
しかし、後方から走ってくる足音が近づき、あっという間に腕を掴まれた。