婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「そうなんですね……お似合いの二人ですのに……」
 しゅんと肩を落として、メイドは仕事場へと向かっていった。
「今の話は?」
 メイドの姿が見えなくなってから、セリオが尋ねた。
「あぁ……大したことではありません。どうやら一部の人間が、私をギデオン様のお嫁さん候補だと思っていたみたいで。そうではないとギデオン様もおっしゃってくださったのですが、未だに、一部の方からはそう思われているようです。私とギデオン様では、年も離れていますのにね」
 自嘲気味にエステルは笑ってみたが、年は離れていてもギデオンは魅力的な男性だろう。世の中の女性が放っておかないのではと思うのだが、ギデオンはまだ独身であるし、結婚する気もなさそうだ。
 だから近くにいる人は、エステルに変な期待をしてくる。いっそのこと、ギデオンには他の女性と結婚してもらいたいくらいだ。
 ざっと城内を案内したあと、エステルは再びセリオを魔導具室へと案内した。
「大したものはお出しできませんが、お茶、いかがですか? 魔導具のお手入れを手伝ってくれたお礼です」
< 116 / 265 >

この作品をシェア

pagetop