婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「いや……俺も悪かった……」
 しゅんと肩を丸めたセリオが、こぼれたお茶を拭いていた。
 その場を彼にまかせ、エステルはアビーにお茶を持っていく。
「ちょっと。痴話喧嘩なら、よそでやってよね」
 アビーまでそのようなことを言って茶化す。
「そんなんじゃありませんって」
「でも、いい子じゃないの?」
「初めて顔を合わせて、それもほんの数分だというのに、アビーさんはそんなことがわかるんですか?」
「ギデオンが受け入れた時点で、悪い子じゃないよ。それに今だって、エステルにどうやって謝ろうかって考えてるんじゃない?」
 カップ片手に、アビーは片目をつむる。
「そういや、セリオだっけ?」
 声を張り上げたアビーは、セリオに話かけた。
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