婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「今はもう、婚約を解消されたのでしょう? 自分のエゴのために」
「俺のエゴだと……?」
「そう。婚約を解消したのは、彼女のためと言いながら、結局は自分のため。彼女を心配する暇があるなら、他に時間を割いたほうが有意義ですからね」
 そこでギデオンはベルを鳴らして使用人を呼び、お茶を用意するように言いつけた。
 だからセドリックは、その間、ギデオンの言葉をかみ砕いて理解しようとしていたが、それよりも彼の使った「ベル」のほうが気になった。
「……それは、なんだ? 普通のベルとは違う?」
「あぁ。これはエステルが作ったものですよ。離れたところでも人を呼びつけることができるベルです。常に私の隣に彼らが控えていては、他の仕事がはかどらないでしょう? だから普段は他の仕事を行い、必要なときだけこうやって来てもらうようにしているのです」
 そこで使用人は、二人の前にお茶とお菓子を並べて出ていった。
< 124 / 265 >

この作品をシェア

pagetop