婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「そうですね。父は療養のためにここを進めてくれたのですが、本当にここに来てよかったと思います。あたたかくなったから、一度、父に会いに戻りたいような気もするのですが……」
 手紙を書いても、モートンからの返事は、移動が大変だからもう少しそちらで休んでいなさいと、エステルを気遣うものばかり。
「もう少し、簡単に行き来できればいいんですけどね」
 だから自動車や電車のような乗り物を作りたい。だが、こればかりはエステル一人では作れないだろう。何人もの国家魔導技師の頭脳と技術が必要だ。
 そうやってセリオと話をしている間に、ペレの集落に着いた。馬を集落の入り口に繋ぎ、餌と水を与える。その様子を、集落の子どもに見つかり「領主様が来たよ~」と大声と共に、消えていった。
 唐突な出来事にエステルも驚いたが、ギデオンは「いつものことだ」と言う。
「この集落は川沿いにあるだろう?」
 ギデオンが示す先には大きな川が見えた。
「ここでは昔から川魚を獲って、それで生計を立てている集落だ。ここは、冬でも比較的雪が少ないところで、この場で冬を越している。だが、冬の間はなかなか様子を見に来ることができないからな」
< 139 / 265 >

この作品をシェア

pagetop