婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「でもさ、問題が一つあるのよね……」
 珍しくアビーが真剣な顔で訴えてくる。
「問題……ですか?」
 今のところ試作品はうまく稼働している。以前の一対一通話の電話も含め、それなりに活用され、使用時における問題点、改善点などは洗い出して把握できているはず。
「そう、問題……圧倒的に『でんわ』を作ってくれる人が足りない。人が足りないから『でんわ』の製造が追いつかない!」
 アビーの言うとおりだ。
 遠く離れた人と会話ができるというのは、非常に便利だ。今までは伝書鳩や先触れ、伝令を用いてやりとりしていた情報が、『でんわ』一つで即時にできる。
 手軽さとリアルタイムなやりとりが受けているのだ。
 その結果、誰もがこぞって『でんわ』を欲するようになる。最初は各集落の代表に渡していた『でんわ』だが、領民からも欲しいと言われれば材料費と手間賃で譲るようになる。となれば、次から次へと欲しいと言い出す者が現れ、需要と供給が追いついていない。
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