婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「やはり、ここは……」
 エステルが意味深な表情でぽつりと言うと、アビーも身を乗り出す。
「なになに? 何か良い考えがある?」
「はい。父の力を借りようかと。もともとこの『でんわ』は、私が出場予定だった学生魔導具開発展で発表するものだったんですよ」
「そうなの? でも、そんなところで発表しなくてよかったわよ」
 アビーの言葉の意味がわからない。『でんわ』なら、間違いなく魔導具展で優勝できただろう。
「どうしてですか? ここまで爆発的に人気になっているんですから、優勝間違いなしだと思ったんですよね」
「だからよ」
 今でニコニコしていたアビーの顔が一変する。
「たくさんの人の前でこれを発表してみなさいよ。この技術を狙おうとしている人が現れても、おかしくはないでしょう? 現に今だって……」
 そこまで言って、アビーははっとした様子で口をつぐむ。
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