婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「今だって? 何かあるんですか?」
「ううん? なんでもない。とにかく、もしヘインズ侯爵の力を借りれるなら、そのほうがいいかも……向こうは、国家魔導技師だし、なによりも神……」
 そこでアビーは、うっとりとした表情をする。彼女のモートン崇拝は未だに顕在である。
「そうですね。アビーさんにも父を紹介したいですし。アビーさんがいなければ、この『でんわ』だって完成しませんでしたから」
「嬉しい! 私もいつかは会いたい人ナンバーワンだから」
 アビーはモートンを心から尊敬しているようだが、エステルからしてみれば家族という想いが強いので、やはり彼女のような気持ちにはなれない。
 だが、アドコック領の魔導技師、魔導職人不足の件は報告してもいいだろう。ここでは開発、修理しか行えない。その後の量産製造は、王都の工場に任せたい。だが今はそんなことを言っている場合ではなく、必要としている人に魔導具を届けたい。
「とりあえず、父に手紙を書いてみますね」
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