婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「なるほど……?」
 だが、セリオの言葉にはヘインズ侯爵に対する親しみが感じられた。ただ知っているといった関係ではないのかもしれない。だが今はそれを深追いするつもりもない。
「まあまあ、セリオ。その話はそれくらいにしておけ」
 険悪な雰囲気を感じ取ったギデオンが、話に割って入った。
「エステル、手紙は確かに預かった。ヘインズ侯爵には出しておく。それよりもだ」
 そこでギデオンは顔を引き締めた。
 何を言われるのかと、エステルも変に緊張が高まる。
「そろそろセリオが王都に戻ることになった」
「えっ?」
 どうして? と聞きたいが、驚きのあまり声が喉に詰まって出てこない。
「もともと、勉強のためにここに来た彼だからな」
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