婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「エステル、エステル、エステール」
「あ、はい!」
「ちょっと、エステル。大丈夫? 何があったの?」
 魔導回路を組み立てていたアビーもその手を止め「はい、休憩!」と手を叩きながら口にする。
「エステルもこっちに来なさい」
 そこはいつも休憩用に使っているソファ。そしてアビーの寝床にもなる。
「それで、何があったの? ギデオンにいじめられた? それなら私のほうからビシッと言ってあげるし」
「いえ、ギデオン様は何も悪くありません」
「ギデオンは? ってことは、他の人に何か言われたのね?」
 隣に座ったアビーが、エステルの顔を下からのぞき込んできた。
「……別に、悪口を言われたとかじゃないんですけど」
 胸の中にあるもやもやをどういった感情で表現したらいいかがわからない。
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