婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「何、言ってるの? この机は荒らされていないわよ。私がいつも使っている場所」
 たまたまアビーの机の上には、資料しか置かれていなかった。といっても、その置き方はかなり乱雑だ。
 だが、やはり犯人はそういった書類に興味がないようだ。
 床に散らばった部品などを元の場所に戻す。その間、ギデオンとジェームスは、犯人の侵入経路はああだこうだと、そちらを調べているようだった。
 また、床に落とされたことで使えなくなった部品や試作品もある。それらはアビーが丁寧に仕分けていた。
 そうやって床がきれいになって、エステルは気がついた。
「ギデオン様、アビーさん!」
 エステルが作業用に使っている大きな机の上に、今までの魔導具試作品を並べてみて気がついた。
「あれがありません」
「あれじゃわからないって。何がないのよ!」
 アビーの鋭い突っ込みが入る。
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