婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
 モートンも腕を組み、どこか宙を見つめ、考え込む。
「とにかく、エステルのそれは危険だ。その技術をヴァサルにもっていかれたら、彼らはそれを応用し、簡単に連絡を取り合うようになるだろう」
「つまり……盗聴が容易になると?」
「恐らく。そして彼らが狙うのは、今の国王、そして王子……」
 どこかに潜んでいるヴァサル国の改革派が、互いに連絡を取り合えるようになれば、動きやすくなるだろう。
「……そうですね。殿下は、ヴァサル国の王子のために、エステルを捨てたわけですから」
「す、捨てたわけじゃない。今はまだ、守ってやることができない。俺に力が足りないから……」
「だったら、エステル本人にきちんとそう伝えてくださればいいものを……。変そうしてまで彼女に会いにいくくらいなら」
 間違いなく侯爵は怒っている。表面上は穏やかに見えるが、言葉がとげとげしい。
 だが、そうされるだけのことをセドリックはしでかしたのだ。
「約束する。すべてを終えたら、エステルには謝罪する。そして俺の弱さも……。もう一度、結婚を申し込ませてくれ」
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