婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「奇遇ね。私にもないわ」
 アビーがニヤリと笑い、なぜか自信満々に言い放つ。
「そんな堂々と言われても……」
 エステルは呆れたように呟いた。
 二人ともあれ以降の記憶がない。となれば、強制的に眠らされてここまで連れてこられたと考えるのが無難だろう。
 だが、なんのために?
「どうして私たち、ここにいるんでしょうね」
 エステルの声は不安に揺れる。
「う~ん。やっぱり若くて美貌に優れるこのアビー様を手に入れたくなっちゃったとか?」
 アビーは髪をかき上げ、冗談めかして胸を張る。
「容姿云々の話は置いておいてください」
 エステルは小さくため息をつく。
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