婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
(私と同じ色……)
 どこか共通点があると、ぐっと親近感が湧いてしまう。今までエステルの周囲にいた男性とは異なり、身体の大きな人物で少しだけ畏怖を覚えたが、そんな気持ちは目の色が同じという共通点が見つかったことで吹っ飛んでいった。
「ヘインズ侯爵の娘だったな」
「はい」
「魔導職人への弟子入り希望だと聞いていたが?」
 弟子入りと言われればそうかもしれない。
「はい」
「だが……ヘインズ侯爵だって国家魔導技師だろう? わざわざこんな辺境にまで来なくとも……」
 なぜかギデオンが疑わしげに目を細くしてきた。父親がどこまでギデオンに伝えているのかはわからない。まして、セドリックとの婚約解消の件とか、学園を退学させられたとか、そういった不名誉なことまで伝えているのかどうかわからない。だが、そういった噂はいつかは届くもの。変に隠さないほうがいいだろう。だからって積極的に自分から言うこともしないが。
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