婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「女性の魔導技師、職人は少ないのです。同じ女性だからこそ、気づく何かがあるだろうと父が」
「なるほど……だが、あれに弟子入りとは……」
「旦那様」
 ジェームスの鋭い声が飛ぶ。
「まあ、おまえが気にしないならいいだろう。だがな」
 そこでギデオンが紫眼を細くして、エステルを睨みつける。
「まだ室内だからいいが……ドレスはその生地のものしかないのか?」
「はい?」
「ここは王都とは違う。これから日に日に寒くなる。もっと厚手のドレスはないのか?」
「あ、はい。家から持参したのは、似たようなものばかりです。雪が降るとは聞いていたので、上着などは用意したのですが……」
 ギデオンの視線はジェームスに移る。
「彼女にドレスを用意してやれ」
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