婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「承知いたしました」
ジェームスは晴れやかに答えた。
「王都とここは違う」
ギデオンがエステルに顔を向けた。慈しむような視線に、エステルの心臓はドキリと弾む。家族とセドリック以外の異性から、こんな眼差しを向けられたことはない。
「これから日に日に寒さが増す。そんな薄いドレスでは風邪を引く。こちらのドレスは生地が厚い」
生地の厚いドレスなど、エステルは見たことも着たこともない。
「アドコック辺境伯の心遣いに感謝いたします」
「……ギデオンだ」
低く唸るような声に、エステルは肩を揺らす。
「堅苦しいのは苦手だ。名前でいい」
父親と同年代の男性から名前でいいと言われたのも初めてだ。
ジェームスは晴れやかに答えた。
「王都とここは違う」
ギデオンがエステルに顔を向けた。慈しむような視線に、エステルの心臓はドキリと弾む。家族とセドリック以外の異性から、こんな眼差しを向けられたことはない。
「これから日に日に寒さが増す。そんな薄いドレスでは風邪を引く。こちらのドレスは生地が厚い」
生地の厚いドレスなど、エステルは見たことも着たこともない。
「アドコック辺境伯の心遣いに感謝いたします」
「……ギデオンだ」
低く唸るような声に、エステルは肩を揺らす。
「堅苦しいのは苦手だ。名前でいい」
父親と同年代の男性から名前でいいと言われたのも初めてだ。