婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
部屋からひょこっと顔を出したのは、薄紅色の髪を肩で切りそろえた女性だ。黒縁眼鏡をかけているので、表情はよく見えないが、年齢はエステルよりいくつか上だろう。
「こちら、エステル・ヘインズ侯爵令嬢でございます」
ジェームスがエステルを紹介すると、彼女の目がみるみるうちに大きく開いていく。
「ヘインズ侯爵……って、あのヘインズ侯爵? 国家魔導技師の? この魔導技師制度を立ち上げたと言われる、あの伝説の?」
伝説かどうかエステルにはわからないが、モートンが国家魔導技師であるのは事実。
「あ、はい。はじめまして、エステル・ヘインズと申します。父から、こちらに女性の魔導職人がいるとうかがって……」
「ちょっと待ってちょっと待って、ヘインズ侯爵は私のことを知ってるの?」
「はい。そんな感じでしたが……。父のお知り合いではないのですか?」
違う違うと、彼女は大げさに首と手を同時に振った。
「だって、私はただの魔導職人よ? 国家魔導技師とは違うもの」
「アビーさん。それよりも先に、自己紹介をお願いします」
「こちら、エステル・ヘインズ侯爵令嬢でございます」
ジェームスがエステルを紹介すると、彼女の目がみるみるうちに大きく開いていく。
「ヘインズ侯爵……って、あのヘインズ侯爵? 国家魔導技師の? この魔導技師制度を立ち上げたと言われる、あの伝説の?」
伝説かどうかエステルにはわからないが、モートンが国家魔導技師であるのは事実。
「あ、はい。はじめまして、エステル・ヘインズと申します。父から、こちらに女性の魔導職人がいるとうかがって……」
「ちょっと待ってちょっと待って、ヘインズ侯爵は私のことを知ってるの?」
「はい。そんな感じでしたが……。父のお知り合いではないのですか?」
違う違うと、彼女は大げさに首と手を同時に振った。
「だって、私はただの魔導職人よ? 国家魔導技師とは違うもの」
「アビーさん。それよりも先に、自己紹介をお願いします」