婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「ちょっと待って、エステル。さすが、神の娘ね! 何よ、それ。最高じゃない。すごくロマンティックね。離れている恋人と『おはよう』『おやすみ』って言い合えるんでしょ?」
 アビーの反応は、エステルを喜ばせるには十分なものだった。セドリックのあきれたような反応が頭の片隅を支配していたが、それを吹き飛ばしてしまうくらい。
「アビーさんには、そういう相手が? 是非、使ってもらいたいです!」
「う~ん。残念ながら、そういう相手はいないのよね。私の恋人は魔導具だから。魔導具に人生を捧げているのよね」
 そこまで言い切ってしまうアビーが格好良く見えてきた。
「私、アビーさんについていきます!!」
「え? ちょっと急に、どうしたの?」
「だって、アビーさんがかっこいいんですもん。私も魔導具に人生を捧げます。もう、セドリックなんて知らないんだから!!」
 そこでエステルは、カップに入っているお茶を一気に飲み干した。その後も、ふん、と鼻息が荒い。
「よし。じゃ、エステルはそこの机を使って。必要な材料は、そこの棚に置いてあるんだけど……。ないものは取り寄せないといけないから」
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