婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「ああ、問題ない。これを使うことで作業が効率的になるならなおのこと。好きにやればいい」
 エステルはアビーと顔を見合わせ「やったー」と喜び合う。
「では、ギデオン様の『こたつ』は執務室に運んでおきますね」
 エステルのからりとした明るい声に、ギデオンは「頼む」とだけ答えた。
 だがこれに一度入ってしまうと、なかなか出ることができないのが問題だ。それを指摘すると。
「そうなんですよね~。『こたつ』の欠点と言えば、気持ちよすぎて動けなくなるってことくらいでしょうか?」
「なるほど」
 頷きながらも、ギデオンもなかなか『こたつ』から出ることができなくて困っていた。だからといって、いつまでもアビーの巣にはいたくない。早くこれを持って帰って、執務室でぬくぬくとしたい。
「あっ」
 そこでエステルがポンと手を叩く。
「では、時間を決めるというのはどうでしょう? ええと、『こたつ』の熱源が入って、設定した時間がきたら自動的に消えるというタイマー式です。そうすれば、ある程度の時間が経ったら冷たくなるから、嫌でも出る必要はありますよね?」
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