婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「外は寒く、まだ少し雪が降っておりますから。しっかり防寒して外に出ないと、風邪を引いてしまいます」
 ハンナからぴしゃりと言われ、肩をすくめたエステルはすぐに着替えることにした。
 厚手の生地のブラウスとトラウザーズ。その上に、コートを羽織る。さらに足元は、膝下まであるブーツだ。まるで乗馬をするような格好だが、雪が深いためドレスではすぐにスカートの裾が雪まみれになってしまう。
 さらにまだ、雪が降っているということで、頭にはボンネットをかぶるのも忘れない。
「エステル様、手袋を忘れております。子どもではないのですから、もう少し落ち着いてください」
 見たこともない、触れたこともない雪に、エステルの気持ちは昂ぶっていた。
 しっかりと手袋をつけたエステルは、ハンナが注意する声を右から左へと聞き流して、小走りで外へと向かった。
「おはようございます」
 エステルが元気よく挨拶をすると、みな、驚いた様子でエステルに視線を向けた。
「エステル様、危ないですから戻っていてください」
 慌ててエステルを制したのはジェームスだ。
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