婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「だけど、私。これほどの雪を見たのは初めてなのです。雪かき、私もやってみたいんです」
「雪はこう見えても重いのです。甘くみてはいけません」
 ジェームスがエステルの身体を気遣ってくれているのは伝わってくる。
「だからって、私だけぬくぬくとお城の中にいるわけにはいきません。それに、えぇと……そう、魔導具を作りたいのです」
「魔導具、ですか?」
「はい。今、ジェームスさんもおっしゃったように、雪かきって大変ですよね。その雪かきが楽になるような魔導具です。そのためには私も雪かきをと思ったのですが……」
 うっすらと雪は降り続き、長く外にいれば頭が白くなってしまうほど。ジェームスの頭にも、少し雪がつもっている。
「何を騒いでいる」
 雪かき道具を手にしながらやってきたのは、ギデオンだ。しっかりと防寒具を身につけた彼は、いつもよりも身体が大きく見えた。
「おはようございます、ギデオン様。私にも雪かきをやらせてください」
 ギデオンが許可してくれたら、ジェームスだって折れるはず。
「ですが、旦那様」
< 65 / 265 >

この作品をシェア

pagetop