婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
 さらにエステルが絵を追加する。
「あと、ここに走行する向きを操作できるような指示装置をつければ……」
「この魔導具の走行って、人が押すの? それとも魔石?」
「あ~。どちらでもよいです。魔石の力を借りれば、作業はもっと楽になりますけど」
「だったら、まずはここは人が押す形にしよう。便利だけど、魔石を使いすぎる。雪を集める、雪をすてる、魔導具を動かす。冬場は魔石の採掘が限られているから、このペースで使ったら魔石がなくなっちゃう。ほら、『こたつ』にも使ってるでしょ?」
 人の力の代わりに魔石を使う。だが、その魔石だって無限ではないと言われている。魔石は、地中に自然と存在しており、それを採掘して使用している。だからすべてを掘り尽くしてしまったら、魔石は尽きるだろうというのが専門家の考えだ。
 ただ、魔石は地中で生成されるため、生成された量を適切に使うのであれば、無限に湧き出るようにも見える。そのため魔石の生成スピードと同じ量だけの消費が好ましいとされており、アドコック領ではその魔石消費の管理も魔導職人の仕事になっている。つまりアビーは、魔導具を好き勝手作っているだけでなく、そういった魔石入手量と消費量を記録し、次の月に使用できる魔石の量を算出しているのだ。
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